仁科くん、君ってやつは



「すっげぇ腹立つんだよね。何もかも、めちゃくちゃにしたくなる」






みんなの知ってる王子様は、こんな顔もできるんだ。


押し付けてる手首に、ギュッと力を込める仁科くんは、

眉を寄せて不機嫌そうなんだけど、どこか悲しそうで。



ダメだ。

私は君が何を考えてるのか、分かりそうにない。





「っ!?ちょっ、と、仁科くん、何して……!」



「いいから、黙って」





ブラウスのボタンを外して、

仁科くんが、そっと唇で触れたのは、鎖骨の上あたり。



チクッとした痛みに、ハッとする。



ちょっと待って、仁科くんアンタまさか……!





「なんっ、で、こんなこと……」


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