仁科くん、君ってやつは


***


誰かに泣いてるところを見られたくない。


だって恥ずかしいし、みじめな気分になるから。



全ての授業が終わった放課後、屋上へと続く階段に座って、頬杖をつく。



本当は屋上に出て、空に向かって大きな声を出したい気分だったんだけど、

鍵、しまってたから。




授業中とか、休み時間中は、気丈に振る舞った。



何も気にしてないようなフリをして、なんとかやり過ごした。





本当は家に帰りたかったけど、お母さんがいるから。


今は1人になりたい気分っていうか。





「はぁーーー……」





ペタッと、その場に寝転がる。


床のタイルがひんやりと冷たい。


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