仁科くん、君ってやつは
仁科くんは、最初からわかってたのかな。
酒井くんは私と2人で出かける気はないって。
「……ねぇ、」
「ん?」
私の隣に座った気配を感じながら、私は続けた。
「仁科くんは、昨日カラオケパーティーがあったって知ってた?」
「俺、基本的クラスのイベントには興味ないから」
知らなかったよ。
そう言った仁科くん。
じゃあなんで、あんなことが言えたんだろう。
「望月さん、泣いてる?」
「泣いてない」
即答をする私に、彼はクスクスと笑い声をもらす。
「だから言ったじゃん、バカだね」なんて言う。
……うるさいよ。
「望月さんが泣いてるとこ、初めて見た」
「だから、泣いてないって」
「泣いてるじゃん」