仁科くん、君ってやつは
そっと、私の頭を優しく撫でる仁科くん。
今までずっと意地悪ばっかりだったのに、こんなことをされると調子が狂う。
「俺が、そばにいてやりたいの」
仁科くん、そういえば君も酒井くんと同じでキャラを被ってるね。
王子様キャラ、とか、君には似合わないよ。
だって、私に意地悪してた時のほうが生き生きしてたもの。
……それから、本当に仁科くんは私が泣き止むまで隣にいてくれた。
ずっと頭を撫でてくれて、少しは私も励まされた。
「望月さん、カバンは?」
「あ……教室に置きっぱだ」
取りに行くのは面倒くさいけど、仕方ない。
仁科くんと2人で教室へと向かう。
目、腫れないように帰ったらすぐに冷やそう。