仁科くん、君ってやつは
クラスの8割がうたた寝をしてしまう古典の時間、
ツンツンとシャーペンで背中をつついてきた仁科くんは、私に向かって小さくそう言った。
……まぁ、確かに。
ショートヘアの私が、どうしてわざわざハーフアップに結んできたんだ、とか。
そう思われても仕方ないかもしれない。
でもね。
『その髪型似合ってないね』
君にこう言われる筋合いはないと思うんだ。
思ってても言わないでよ。相変わらずデリカシーないんだから。
「"クソガキ"って……口悪いね」
クスクス笑い声をたてる仁科くん。
そんな彼は、学校の王子様的存在。
容姿端麗。頭脳明晰。スポーツ万能。
レディーファーストはお手の物。