仁科くん、君ってやつは




クラスの8割がうたた寝をしてしまう古典の時間、

ツンツンとシャーペンで背中をつついてきた仁科くんは、私に向かって小さくそう言った。





……まぁ、確かに。

ショートヘアの私が、どうしてわざわざハーフアップに結んできたんだ、とか。


そう思われても仕方ないかもしれない。



でもね。




『その髪型似合ってないね』




君にこう言われる筋合いはないと思うんだ。


思ってても言わないでよ。相変わらずデリカシーないんだから。





「"クソガキ"って……口悪いね」





クスクス笑い声をたてる仁科くん。



そんな彼は、学校の王子様的存在。

容姿端麗。頭脳明晰。スポーツ万能。

レディーファーストはお手の物。


< 3 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop