仁科くん、君ってやつは
き
「仁科くん」
「ん?」
「……なんで日直でもない君まで残ってるの」
ホワイトデーから約1週間。
酒井くんに対する気持ちも冷めて、全部吹っ切れた私。
もともと切り替えは早いタイプだったし、仁科くんが酒井くんを殴ったところを見て、多分せいせいしたんだと思う。
「いつも早く帰ってなかったっけ」
日直日誌を書くために残っていた私の後ろの席には、なぜか仁科くんもいて。
「俺だってたまには放課後まで残っていたい気分にもなるよ」
そう言った仁科くんを見ると、スマホをいじりながらニコニコとしていた。
……つかみどころのない人だなぁ。