仁科くん、君ってやつは
私の言葉に、クスクスと笑う仁科くん。
「ま、その子も結局告白してなかったけど」
「そうなんだ。よかったね、チャンスがあって」
「そうだよ。チャンス、まだあるんだよね」
「でも、大変だった」なんて、そう続けた仁科くんに首をかしげる。
日直日誌の"今日の出来事欄"に、何を書こうか、そう考えながら、
「どういうこと?」
そう聞いた。
「その子が好きになった奴、かなりクズだったから」
「それ、君が言えることじゃないでしょ」
「うるさいな。俺より最低だったんだよ」
仁科くんより、最低な人。
思いつくのは酒井くんぐらいだ。
そんな人がこの学校にまだいるなんて。