仁科くん、君ってやつは
その言葉に、ピタッと手を止めた。
仁科くんは、よく、私に意地悪をした。
私が酒井くんと話をしている時も、『望月さん、先生が呼んでたよ』なんて言って話に入って。
放課後の教室で、グラウンドで部活をしている酒井くんのことを見ていた時も、
いきなりカーテンを閉めて。
席替えの時だって、私の後ろの席は本当は酒井くんだったのに、
いつの間にか仁科くんと交換されてたし。
バレンタインデーの日も、
私のチョコにいちゃもんをつけたり、食べようとしたり。
仁科くんは、よく、私の邪魔をした。
『ある人に告白しようとしてて、靴箱でずっと待ってた』
『なんでやめちゃったの?』
『その相手も、誰かに告白しようとしてたから』