仁科くん、君ってやつは


肌が白く、中性的な顔立ちの彼は、いつも優しい笑顔を振りまいている。




……表向きは。





「ねぇ、それ誰のためにやってんの?」


「うるさいな、放っておいて」


「強がらなくていいのに。もう知ってるし」


「……」





仁科くんにちょっかいをかけられるようになったのは、いつ頃だったっけ。



眉を寄せて、うーんと考える。


……あぁ、思い出した。



ちょうど1ヶ月前だ。






『へー……望月さんて、酒井くんのこと好きなんだ』






ある日の放課後。


その日私は、ずっと片想いをしていた酒井くんに告白をしようと、

靴箱に呼び出しの手紙を入れようとしていた。



酒井くんはサッカー部で、笑顔が眩しくて責任感が強くて、爽やかで、とにかく優しい。


< 4 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop