仁科くん、君ってやつは
肌が白く、中性的な顔立ちの彼は、いつも優しい笑顔を振りまいている。
……表向きは。
「ねぇ、それ誰のためにやってんの?」
「うるさいな、放っておいて」
「強がらなくていいのに。もう知ってるし」
「……」
仁科くんにちょっかいをかけられるようになったのは、いつ頃だったっけ。
眉を寄せて、うーんと考える。
……あぁ、思い出した。
ちょうど1ヶ月前だ。
『へー……望月さんて、酒井くんのこと好きなんだ』
ある日の放課後。
その日私は、ずっと片想いをしていた酒井くんに告白をしようと、
靴箱に呼び出しの手紙を入れようとしていた。
酒井くんはサッカー部で、笑顔が眩しくて責任感が強くて、爽やかで、とにかく優しい。