仁科くん、君ってやつは
私の一目惚れ。
『あっ、ちょっと……!返して!』
だから私の気持ちを伝えようと、彼の部活が終わった後呼び出そうとしたんだけど、
直前になってビビった私は結局、手紙を入れずにそのまま帰ろうとしたんだ。
ブレザーのポケットに手紙をしまおうとしたけれど、
うっかり落としてしまった。
軽い手紙はタイミング悪く吹いた風によって私の元を離れ、
落ちた場所は、なぜか靴箱にいた仁科くんのところ。
いつもならすぐに帰るのに、どうしてあの日、仁科くんはあんなところにいたんだろう。
なんて、考えたって答えは出ない。
とにかく、
その手紙を拾った彼は、
"酒井くんへ"と書かれた手紙を見て、それから私を見て。