仁科くん、君ってやつは
「これ、ほどいてやろうか?」
「やめて」
グイッとヘアゴムを取ろうとする仁科くんの手を振り払う。
やめてよ。
『望月、今日はいつもと髪型違うのな!似合ってる』
今朝、酒井くんがこう言ってくれたんだから。
似合ってないって言ったアンタとは違って、酒井くんは笑ってそう言ってくれたんだから。
「あぁ、そっか。酒井くんに褒められてたもんね」
「……」
「また結ぶのも大変そうだしね」
「仁科くん、」
「でも、」
グッと、仁科くんの手に力が入った。
「だからこそ、望月さんの気持ちごとぐちゃぐちゃにしてやりたくなるんだよ」