仁科くん、君ってやつは
シュルリとほどけたヘアゴムが、床に落ちる。
仁科くんのことを鋭く睨んだって、彼は全く動じない。
ゴールドの小さなお花と星のついたヘアゴムを拾って、ブレザーのポケットにしまう。
「……仁科くんなんか、嫌いだ」
「ひどいね」
ひどいのは、どっちよ。
「でも、望月さんが悔しそうに涙をこらえてる顔は好きだよ。この気持ち分かんないかなぁ」
「……いやもう、分かりたくないよ」
仁科くん、私のことはもう放って置いて。