ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「しかし所長、今後再発しないように対策は施しておかないと、」

と言葉の途中で、所長がニッコリと微笑んで返してきた。

「対策はハードでしか出来ないワケじゃない。ソフトでも出来るだろう?」

「ソフトで?」

「そう。電磁波の感知は出来るんだからさ、今後はそういう場所に近づかないようにプログラムを追加すれば、解決さ」

指を一本突き立てる所長。

なるほど、それならお金は掛けずに出来そうだ。

「確かに。ではさっそく追加プログラムを考えましょう」

「今夜中には作り上げるわよ」

やがて日付が変わって午前三時。

無事に復活したミライと一緒に所長に送られて、僕の部屋へと帰り着いた。

「…じゃ、よろしく、頼んだよ~」

深夜だから気をつかって小声で手を振る所長。

「わかりました~」

見送ってそっとドアを閉める。

「遅くなっちゃったね」

「うん。おフロ入ってくる」

ミライは寝る前には必ずシャワーを浴びる。

(四時になるな…)

ふと携帯を見ると、メールが来ていた。

ミライさん大丈夫?と具合を尋ねる内容。

(大丈夫だよ、っと)

ついでに明日は遅くなるって返しておこう。

(よ~し)

これで今夜はグッスリ眠れそうだ。
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