ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「ううん平気。だっておねえちゃんが遊んでくれるもん。ねぇねぇ、あしたも遊びに来てくれる?」

ネダられたミライがこっちを向く。

同じようにネダる上目遣いで僕を見つめてくるミライ。

「…別にいいんじゃないかな。奥さんが迷惑じゃなければ」

僕は断る理由はないし。

「私は大歓迎よ。この子たちも喜ぶわ。毎日でもどうぞ」

微笑んで答える奥さん。

ミライが頷いて子供たちに笑顔を返すと、二人の女の子がニッコリと笑顔をみせた。

「やったあ。ねぇねぇ、あっちでおままごとしましょう」

「おままごとちまちょう」

愛ちゃん舞ちゃんに両手を引っ張られて、嬉しそうに一緒に和室へ入っていくミライ。

すぐにキャッキャとハシャギ声が聞こえてきた。

(すっかり打ち解けちゃってるよ)

僕が入り込む余地は無さそうだナ。

「ウンウン、おもしろくなってきたぞぉ」

所長も楽しげに頷いてる。

(そりゃそっちは楽しいでしょうけど…)

ココロのヒントも話してくれないし、僕は何だかスッキリしない気分なんですけど。

「そんな顔しないでくれよ。こーんなに嬉しい日は滅多にないんだからさ。それもこれも君のおかげなんだよ!」

明るい笑顔で所長がバンバンと肩を叩いてくる。

どうやら励ましてくれてるらしい。

「そうだ、どうだいこれから、二人で飲みにでも行かないか。ボクが奢るからさ。どこか落ち着いた店を知ってるかい?」

所長に言われて思いついたのは、あのダンロだった。
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