ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
(…無愛想だな)

さすがに20人分の実験を一人でやらせたのは悪かったか。

ここは一つ、

「昨日は済まなかった。実験を君一人に任せて」

一言気づかっておかないと。

「いいのよ。ミライさんの事だから。先生が悪いんじゃないでしょ」

と、珍しく淡々とパソコンに向かい始める広海君。

なんだか気持ち悪い。

「…どうしたんだよ今日は。やけに大人しいんじゃないか?」

どこかよそよそしいのは気のせいか?

「気付いてないの?そんな暗い顔した先生が隣りに座ってたら、誰だっておとなしくなるでしょ。ねぇ先生、ミライさんが居ないとそんなにガッカリするワケ?」

じっと見つめ返された。

「え、いや、そんな事は…」

ない、とは言い切れないかも。

「ねぇ、前から聞きたかったんだけど、先生はミライさんと付き合ってるの?」

グッと前のめりに顔を近づけてくる。

「え?いやいや、それはないよ」

出来る訳ないって。

「じゃあどういう関係?同じ部屋に一緒に住んでるんでしょ?友達以上恋人未満?先生はミライさんの事どう思ってるわけ?」

続けざまの質問。

う~ん。

「…どうって、ただ同居してるだけで、それ以上の事は何もないよ」
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