ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「カンパーイ」

向き合って缶ビールをグビグビと喉に流し込んでいく広海君。

(ホントにおいしそうに飲んでいくな)

上がっていく顎の下でゴクゴクと喉が動く。

ふと、パジャマの開いた胸元から覗く深い胸の谷間と、ボンッと張った胸の膨らみが目に止まった。

(…んっ、ノ、ノーブラ!)

確かに風呂上りだからラクなんだろうけど?!

でも気の許しすぎじゃないか広海君?

(男だと思ってないのか?)

そっちはそうでも、こっちは意識しちゃうよ。

ミライと違って生身の女なんだし。

(それとも、ホンキで誘う気か?)

…いやいや。

(考え過ぎだ考え過ぎ)

マッタク、余計な気遣いさせないで欲しいよ。

お酒が入ってくってのに、変な気を起こさないようにするのは大変だって。

「さ、食べよ先生」

平然とピザの箱を開ける広海君をなるべく見ないようにして、味わうのもそこそこにピザを平らげた。
< 140 / 321 >

この作品をシェア

pagetop