ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
 目が覚めた時は、床に並べたブルーのクッションの上。

ベッドの上にはブルーのカバーがばっさりと掛けられていて、

テーブルの上には空き缶が寄せ集められ、

カーテンが開けられた窓の外はすっかり明るくなってる。

(…休みにしよう)

どうせ誰も来ないしな。

「センセーおはよう」

広海君が野菜ジュースの紙パックとコップを手に台所から寄ってきた。

「あ、おはよう…」

う~ん頭も体もだるいナ。

「二日酔い?」

元気に聞いてくる広海君。

まるで昨日のお酒が何も無かったかのようだよ。

「ん~、ちょっとね」

頭を振りながら返すと、広海君がフフッと微笑んできた。

「ゆっくりしてっていいからね。なんだったら、今日もウチに泊まっていったら?」

えっ?

「どうせ部屋に帰ったって、一人で寂しいだけでしょ?いいじゃない、束の間の同棲気分も。ね」

顔を突き出してくる広海君。

(確かに寂しいかも、な)

ミライもいないし、一人で帰っても寂しいだけだし。

「いいのか?」

聞くと、広海君が笑顔で返してきた。

「うん。ご飯は私が用意するからねっ」

…って言われてその夜出てきた晩ご飯は、デリバリーのカレーライス。

さすが広海君だね。
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