ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「ふ~ん。ま、ミライさんがいればペットロボットなんていなくても寂しくないわよねぇ?」

ん、なんかトゲのある言い方だな。

「じゃあお邪魔しま~す」

澄まして部屋に上がる広海君。

キッチンの横の冷蔵庫の前に買い物袋を置いて、キッチンをぐるりと見回してる。

「片付けはミライさんがしてるの?」

聞きながら勝手に冷蔵庫を開けてるし。

「うんああ、やってくれるけど」

と、僕の返事には耳も貸さずに、広海君が冷蔵庫の上下のドアをバタンバタンと開け閉めして中を見回してる。

なんだか僕とミライの暮らしぶりを探られてるような気分だな。

「鍋と器はココ?」

広海君がキッチンの下の扉を開けて覗き込んで、片手鍋と耐熱ボウルを手に取った。

「あった。これでいいよね」

振り向いて見上げてくる。

「ああ」

二人分のそうめんを茹でるには十分だ。

「じゃあ任せて♪」

微笑んで仕度を始める広海君。

どうしたんだろ。

自分の部屋でもキッチンには立たなかったのに。

(ミライに刺激されて、彼女風でも吹かせるつもりかな?)

フフッ、可愛いトコあるじゃないか。

ココは黙って見守る事にしよう。

出来上がりがちょっと心配だけどね。
< 159 / 321 >

この作品をシェア

pagetop