ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「やっぱり、ミライさんを夜ここに一人にするのは、心配?」

「えっ、…」

言い方に含みがあるね。

君の言いたいことはわかるよ。

僕だって、君の部屋には行きたいとは思う。

「でも」

ミライを一人にするのはちょっと。

「ミライに何かあったら大変だからさ」

ミライを任されてる以上、責任は果たさないとな。

「…そうよね。ゴメンなさい」

シュンと肩をすぼめて横を向いて、溜息をつくように俯いてる。

そんなに寂しそうにするなよ。

「代わりにさ、晩ご飯だけでも食べに来たらいいよ。ミライにはお隣さんがいるし、こんな風に二人の時間は作れると思うよ」

「ホント?」

パッと上げた顔に笑顔がこぼれる。

気持ちがすぐ出るんだな。

「ああ」

見上げてくる目をじっと見つめ返した。

真っ直ぐ僕を見て離さないキラめく瞳。

確実に、僕の心は彼女の虜になってる…。

とその時、ピンポーンとドアホンが鳴った。

「ただいまー」

ドアが開いてミライが帰ってきた。

「おかえりなさーい」

と、ニコヤカに立ち上がって迎えにいく広海君。

(あっ、そうなんだ)

気持ちを切り替えるのも早いんだな。

「先に食べちゃったけど、ホントに良かった?」

「うん気にしないで。楽しく盛り上がってるみたいで良かった♪」

とそれぞれ笑顔で戻ってきた二人に挟まれて、幸せな(?)宴がさらに続いた。

…これって両手に花って言うのかな?
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