ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「…大丈夫ですか所長、広海君をミライに任せても」

僕もついて行った方がいいですか?

「大丈夫さ、本田君がなんとかしてくれるよ」

と、のほほんとコーヒーをすすってる。

う~ん。

ちゃんと考えてたのか何も考えてなかったのか微妙だよ…。

「あっ、所長、ミライのデータチェックはどうするんですか?」

ちゃんと考えてますか?

広海君を何とかしないと、さすがに耳にケーブル繋いだ姿は見せられないでしょ。

「今日は止めとくよ。週明けにでもボクがこっちからミライを迎えに行くからさ」

そう明るく微笑んで返してくる。

問題は先送りですか。

やけにのんびり構えてますね。

この前の、いよいよ二号機が動き出すって盛り上がりが嘘みたいですよ。

「あ、ところで二号機は?」

いったい今どこに?

「ウン、この上に仮眠室があってね、そこにクワンと一緒に泊り込んでるよ。今日は下りて来ないように言ってるから、大丈夫大丈夫。心配しないでさ、ミライたちが戻ってくるのをゆっくり待とうよ」

微笑んでカップを口に運ぶ所長。

横顔には、二号機の実験も上手くいってる余裕が溢れてる。

いいですねぇ、所長は気苦労がなくて。

ここならバレないか心配する必要がないですもんね。

こっちはバレたらどうなるだろうって不安を抱えてるっていうのに…。
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