ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「…へえ」

ミライが解答文にペンでチェックを入れながら、一問一問点数を書き込んでいってる。

見る限り、採点内容に問題はなさそうだ。

「上手いじゃないか。よく出来てるよ」

感心する出来栄えだよ。

「ありがとう」

ミライが顔を上げて微笑んでる。

すかさず、広海君が横から声を掛けた。

「どう考えてやってるの?私でも苦労するのに」

うん、それは僕も気になる。

とミライが、僕と広海君を交互に見て返してきた。

「語句の類義性と文章構成の整合性を考えて、模範解答との類似率を計算してみたの。先生が二点と五点の組み合わせにしてたから合わせたんだけど、これでいい?」

ミライが微笑んでみせてる。

「さすがね、採点も理系的。私にはムリ」

首を振ってる広海君。

同感だね。

僕の採点の組み合わせまで見てたとは驚きだよ。

「よく出来てるよ」

この分なら、半分ぐらい任せても大丈夫そうだな。

「これ、お願いするよ」

解答用紙を半分差し出す。

「はい」

ニッコリと受け取ってくれるミライ。

(これならはかどるゾ)

さっそく横でペンを走らせ始めるミライ。

なんとなく、採点の時間が楽しくなりそうだな。
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