ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「私が外へバラすって思ってたワケ?!」

マイッタな~。

だって普段の君を見てたら誰だってそう思うだろ、とは口が裂けても言えないし。

とはいえ、これじゃ火に油だ。

「先生は私とずっと一緒に研究してきたんじゃないの?私ってそんなに信用ないワケ?私の事ずっとそんな風に思ってたワケ?ねぇっ!」

潤んだ目で訴えてくる。

そりゃそうだよな。

この心の叫びに、どう答えたらいいんだ?。

「そ、そんな風には思ってないよ」

今の僕にはそう首を振って返すのが精一杯だ。

「じゃあ何で正直に話してくれなかったのよ!」

…怒りたくもなるよなぁ。

と、横からミライがスッと前に出て広海君の手を取った。

「ごめんなさい広海さん、先生を責めないで。先生は、所長に言われた通りの事をしてただけ。先生は悪くないの。許してあげて」

おおっ、ミライが僕を擁護してくれてる!

「どうしてよ!先生は私を放っておいて、あなたとの実験を選んだのよ!私の気持ちは実験以下だって言ってるのよっ。許せるわけないじゃない」

口を真一文字に結んでる。

…その通りだよな。

「違うわ」

と、ミライが首を振って返した。

「私の実験は、先生にとっては仕事なのよ。先生の気持ちとは違うの。あなただってそれはわかってる筈よ」

おおっミライ、いい事言ってくれるじゃないか!

「何よ、わかったようなコト言って。だからって、先生が私を騙し続けてた事に変わりはないじゃない!そうでしょ先生!」

広海君がジロッと僕をにらんでくる。

(…ん、まあ、)

そういうコトになるか。

「済まないって思ってるよ」

でも、わかってくれ。
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