ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「やあおはよう。ちょうどいいところに来てくれたな」

黒縁メガネの教授がどっこいしょと腰を上げる。

「お二人にさっそくご紹介しておきましょう。こちらの彼が、我が人間行動学科の期待の星、大沢貴史《おおさわたかし》君ですよ」

ニコヤカに僕を紹介する教授。

(期待の星って…)

またか~。

似たように何度持ち上げられて紹介されたコトか。

(また縁談話ですか?)

もういいですって~。

親心あふれ過ぎですよ教授。

そんなにせっせと話を持って来られたって。

(この前は心理学科の名誉教授と若い助手だったよなぁ)

僕も彼女も独身同士。

だけど教授に薦められた相手なんて、途中で断るワケにはいかなくなるし。

(そんな重いのはね…)

まあ一応、同じ学部だから教授の顔も立てて一度は食事をして、でもそれっきり。

『お互い心を読み合うようで疲れますから』

って、昔言われた理由をそのままつけて。

「君にも紹介しておこう。こちら、自然科学研究科の近未来研究所の栗栖所長と、その姪の研究員さんだ」

紹介されてパッと立ち上がる所長さんと彼女。

(へぇ、)

自然科学研究科って事は、理系なんだな。

(ん、…)

座ってる時は白衣に隠れて気付かなかったけど、彼女って胸の膨らみがバンッ☆と大きい。

(…ハハ~ン)

いよいよ最終兵器登場っ!ですか教授。

もちろん、意識はしますよ~。

(でも、心と体は別ですからね教授)

僕が求めるのはダイナマイッ☆じゃありませんっ。
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