ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「おーいミライ君、お茶を二つ持ってきてくれ」

教授の呼びかけの後、しばらくしてミライがお盆を持ってテーブルの横へやってきた。

ミライがちょっと屈みながら、小振りの茶碗を載せた受け皿をしなやかに掴んで、静かに教授と僕の前に置く。

「君もそこへ座りなさい」

言われるまま僕の横に座るミライ。

「さてさて、所長も大変な事になったな」

身を乗り出してお茶を啜る教授。

「…そうですね」

何しろテレビ沙汰になってるんですからね。

「捕まってるんでしょうか、所長」

ロボットに車の運転をさせた研究所の開発責任者だ。

タダでは済まないだろうな。

「私も今回は考えたよ」

「え?」

何をですか?

「ロボットに車を運転させて事故に遭い、一人が意識不明になった。それがどういう罪になるのかを、だ…」

教授が一呼吸置いてる。

ちょっと考えてみた。

「無免許運転…ですか?」

何か違うような。
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