ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「それだと運転してたロボットを捕まえる事になるが、どうやってロボットに罪を科す?戸籍も住民票も無いロボットに行政処分は科し様が無い」

そりゃそうですね。

「そもそも、今ある法律はロボットが運転するなんて事を想定してはいない。現状の法律で引っ掛かるとすれば、許可無く公道上でロボットの運転実験をした、道路使用許可違反という所が思いつくが、」

教授がチラッとこっちを見てる。

ウッ、そうだった。

事によっては僕の身にも降り掛かって来るんだ。

これは他人事じゃないゾ。

「同乗者の生死に係わる事故を起こしておいて、そんな罪状ではあまりに罪が軽すぎるな」

って、教授それじゃ、

「所長がもっと重い罪になれば良いと?」

それはあんまりじゃないですか。

「いやいや、客観的に事実を述べたまでだよ」

お茶を受け皿に戻す教授。

「ロボットが世の中に出て行くにはもっと法整備が必要だと、世の中が気付くだろう。所長の言っていた通りにな」

あっ、

思い出した。

(そういえば所長、言ってたよな。自分が犠牲になってでもって)

自己犠牲も厭わない所長の熱意には頭が下がるけど…。

と、教授が言葉を続けてきた。
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