ふたりの彼女と、この出来事。
(新版)
「ねぇ、お見舞いに行きましょうよ、クワンさんの」
ミライが心配そうに声を掛けてきた。
「あ、ああ、そうだね」
どこの病院だろう、と尋ねようとした時、本田君が急に立ち上がった。
「病院には行かないでくれませんか!」
「えっ?」
行かないでくれって?
「あんまり動き回らないで欲しいんです」
「どうして?」
それはどういう理由だろう。
「ロイの事は知られてしまいましたが、ミライはまだ世間には知られてはいません。周りにはロイの事を聞きつけたマスコミが溢れています。もし今、ミライの事まで嗅ぎ付けられてしまったら、収拾がつかなくなるに決まってますよ」
「そうか」
呟いてミライを見た。
ミライの事が知られたら、確実に僕の実験室にまで騒動が広がってくる。
「それに見舞いに行ったって、クワンはもう何も応えてはくれないんです…」
本田君が悲しげに呟いてる。
そうだよな。
力なく肩を落とした姿を見せられちゃ何も言い返せないよ。
「いろいろと落ち着くまで、今は自重していてもらえませんか」
本田君が懇願してる。
頷いて返す以外ない。
「良かった。そうだ、控え室に行きませんか。コーヒーぐらいお出ししますよ。インスタントですけどね」
と、本田君の顔にその日初めて笑みがこぼれた。
「アハハ。ご馳走になるよ」
所長の口癖も、こういう時に役に立つんだな。
ミライが心配そうに声を掛けてきた。
「あ、ああ、そうだね」
どこの病院だろう、と尋ねようとした時、本田君が急に立ち上がった。
「病院には行かないでくれませんか!」
「えっ?」
行かないでくれって?
「あんまり動き回らないで欲しいんです」
「どうして?」
それはどういう理由だろう。
「ロイの事は知られてしまいましたが、ミライはまだ世間には知られてはいません。周りにはロイの事を聞きつけたマスコミが溢れています。もし今、ミライの事まで嗅ぎ付けられてしまったら、収拾がつかなくなるに決まってますよ」
「そうか」
呟いてミライを見た。
ミライの事が知られたら、確実に僕の実験室にまで騒動が広がってくる。
「それに見舞いに行ったって、クワンはもう何も応えてはくれないんです…」
本田君が悲しげに呟いてる。
そうだよな。
力なく肩を落とした姿を見せられちゃ何も言い返せないよ。
「いろいろと落ち着くまで、今は自重していてもらえませんか」
本田君が懇願してる。
頷いて返す以外ない。
「良かった。そうだ、控え室に行きませんか。コーヒーぐらいお出ししますよ。インスタントですけどね」
と、本田君の顔にその日初めて笑みがこぼれた。
「アハハ。ご馳走になるよ」
所長の口癖も、こういう時に役に立つんだな。