ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「よおしみんな、こうなったらロイの原因究明、バッチリやってやるぞぉっ」

所長が雄叫びに似た声を張り上げる。

研究員たちも拳を高々と突き上げて返してる。

「みんな、非接触の測定装置をありったけ持って来てくれないか。本田君、アクセス方法が何か無いか再考を頼む」

「わかりました」

本田君の返事に頷いた所長が、ふとこっちを見た。

「ウン、君たち二人は、今まで通り、いつも通りで明日からも頼むよ。ここは大丈夫だからさ」

心配ご無用とばかりに微笑んでる。

「わかりました」

任せといてくださいよ。

頷き返すと、所長がすぐさま広海君に目をやった。

「広海君、君には早くプログラムが読めるようになってもらいたいんだ。事によると、この分析の中心になってもらうかもしれないからね」

「わかったわ。死ぬ気で頑張るから」

グッと手を握って答える広海君。

オイオイ、そんなヤル気はウチじゃ見た事ないぞ。

「ウン、ボクもわかりやすく教えてあげるよ。控え室に行こう。ダイジョ~ブ、気負う事はないからさ」

と話をしながら控え室へ一緒に入っていく所長と広海君。

お~い、こっちはお構いなしかぁ。

「…」

慌しくなった研究室の中で、ミライとふたり、ポツンと残された。
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