ふたりの彼女と、この出来事。
(新版)
「あ、うん」
隣の椅子に腰掛けて身構える。
「ちょっと待ってください…」
本田君が散らばっていた書類を集めてトントンと揃えて脇に置いてから、振り向いてきた。
「まず原因の一つは、」
指を立てる本田君。
「ロイに組み込んだココロとカラダのシステム、そこに、大きな問題があったんですよ」
本田君が大きく身を乗り出してくる。
「ココロとカラダのシステムに?」
それはどういう事?
「はい。ロイは感情をよりストレートに表せるように、ソフトを介さずにハードで直接電圧をコントロールするようにしたんです。管理者に触られる、抱きしめられる、その事で直接電圧が上がるように。そしてその逆の時は電圧が下がるように」
「じゃあ、抱きしめてくれないと電圧が下がるのか」
聞くと頷いて返してきた。
「そうです。それが裏目に出ました。クワンはもう動かない。抱きしめてくれない。そこにロイのカラダが深い悲しみを感じて、自分で自分を動けない程低い電圧にしてしまったんです」
宙を見上げた本田君が、さらに続けてくる。
「あともう一つ、最初からある基本プログラムも悪い方へ働いてしまったみたいなんです。管理者の真似をするようにってプログラムが…。管理者が笑ったら笑うように、悲しんだら悲しむように、眠ったら眠るように、…」
一瞬、言葉に間が出来た。
「死んだら、死ぬように?」
言ってから、本田君が奥歯を噛み締めてるのに気づいた。
「…いや、そこまでは組み込んでいません。でもロイの管理者であるクワンはロイに反応しなくなった。動かなくなった。返事をしてくれなくなった…。私の直感通り、ロイは愛するクワンとホントにココロから同じになりたいと思ったのかもしれませんね」
フッと宙を見上げる本田君。
「なんだか…」
切なくなる話だな。
隣の椅子に腰掛けて身構える。
「ちょっと待ってください…」
本田君が散らばっていた書類を集めてトントンと揃えて脇に置いてから、振り向いてきた。
「まず原因の一つは、」
指を立てる本田君。
「ロイに組み込んだココロとカラダのシステム、そこに、大きな問題があったんですよ」
本田君が大きく身を乗り出してくる。
「ココロとカラダのシステムに?」
それはどういう事?
「はい。ロイは感情をよりストレートに表せるように、ソフトを介さずにハードで直接電圧をコントロールするようにしたんです。管理者に触られる、抱きしめられる、その事で直接電圧が上がるように。そしてその逆の時は電圧が下がるように」
「じゃあ、抱きしめてくれないと電圧が下がるのか」
聞くと頷いて返してきた。
「そうです。それが裏目に出ました。クワンはもう動かない。抱きしめてくれない。そこにロイのカラダが深い悲しみを感じて、自分で自分を動けない程低い電圧にしてしまったんです」
宙を見上げた本田君が、さらに続けてくる。
「あともう一つ、最初からある基本プログラムも悪い方へ働いてしまったみたいなんです。管理者の真似をするようにってプログラムが…。管理者が笑ったら笑うように、悲しんだら悲しむように、眠ったら眠るように、…」
一瞬、言葉に間が出来た。
「死んだら、死ぬように?」
言ってから、本田君が奥歯を噛み締めてるのに気づいた。
「…いや、そこまでは組み込んでいません。でもロイの管理者であるクワンはロイに反応しなくなった。動かなくなった。返事をしてくれなくなった…。私の直感通り、ロイは愛するクワンとホントにココロから同じになりたいと思ったのかもしれませんね」
フッと宙を見上げる本田君。
「なんだか…」
切なくなる話だな。