ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
(勘弁して欲しいよ…)

病を抱えてる相手に欲情する気なんかない。

だけど、艶めかしいよ。

(半端なんだよな~)

同棲するようなノリの女の子じゃないんだよ。

(せめてもっとオチャメに)

そう、

『あーんブラ外してくれる~♪』とか、

『覗いたらタイホしちゃうぞぉ☆』とか、

もっと冗談っぽいノリで言ってくれたら。

(ってオイオイ、何考えてるんだよ)

彼女は病人だゾ。

体に穴だって開いてるんだ。

(雑念よ飛んでけっ!)

とその時、聞こえてきた。

ガチャッと浴室の扉を閉める音。

サーッと流れるシャワーの水音。

(ムムム…)

ミライがシャワーを浴びてる。

当然、裸で。

(いやいや、病気なんだよ、彼女…)

わかっていても頭の中で勝手に妄想が膨らんでいく。

立ち込める湯気に浮かぶダイナマイッ☆なスタイル。

顎を上げ瞼を閉じてシャワーを浴びる顔。

つややかな唇は少し開いていて、

なめらかな肌を水滴が滴り流れていく…。

(ウオーッ)

どうしてくれるんだこのモヤモヤをっ!

シャワーの音が響き聞こえる部屋の中で、何度も首を振るハメになってしまったじゃないかーっ!
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