ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「よーしみんな、ようやく日の目を見る時がやって来た!気合を入れて準備に取り掛かろうっ!明日はミライのお披露目パーティーだ!」

「おーっ!」

歓声が沸き、みんなが声を掛け合いながらバタバタと動き出してる。

(なんで?!ウソだろ?)

全然予想外だって!

テレビで発表するって事をみんなは歓迎なのか?

(そんな事したら、僕まで世間の注目を浴びる事になって、)

まともに外を歩けなくなるじゃないか。

「よお~し」

と、所長がクルッと振り返ってきた。

「ミライ、君にはとびっきり素敵なドレスを用意してあげるからね」

嬉しげな笑顔で笑ってる。

ミライも嬉しそうに微笑み返してる。

(オイオイオイ…)

話がどんどん進んでいってるじゃないか。

このままじゃ僕だけ取り残されちゃうよ!

「所長、ホントにミライの全てをテレビで公表するんですか?」

本気なんですか?

「もちろんだよ!君ももちろん、喜んで出てくれるよね?」

って、トンでもない!

「勘弁してくださいよ!」

喜べるワケないでしょ!

「どうして?君は、ミライをここまで育てあげた大事なメンバーの一員だってボクは思ってるよ。そうだろ?」

いやいや、そんな事を言ってるんじゃないんです。

「違いますよ所長、勘弁して欲しいのはテレビの会見そのものの方ですよ。ミライのデータを全部公表したりしたら、僕とミライは今以上にマスコミやヤジ馬に取り囲まれます。そんなのはゴメンですよ」

僕とミライのやり取りの全てが公表されてしまったら、

(朝の健康診断のキスから何から全部見られてしまうんだ、)

周りから変な目で見られるって!

と、所長が僕の両肩を掴んでまじまじと見つめてきた。
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