ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「よぉ~く考えるんだ。遅かれ早かれ、お披露目はしないといけないんだ。だったら早く済まして置くに越した事はないよ。そうだろう?」

いやいや、そうかも知れませんけど、

「だからって、世の中がロボットでにぎわってる今、テレビになんか出たら…」

火に油を注ぐだけじゃないですか。

「わかってる。ちゃんとわかってるよ」

落ち着いた声で頷いて、言葉を続けてくる所長。

「君の気持ちもわかるけど、もう話は進んでるんだ。後戻りは出来ないよ」

そんな。

(後戻り出来ないって)

局長が決めた事だから、って事ですか?

(…)

マッタク、うな垂れますよ。

と、所長がパッと明るく声を掛けてきた。

「だからさ、どうせやるなら心から楽しもうじゃないか!明日のミライのお披露目をさ!」

僕の肩をパンッと叩いて、そのまま振り返って行ってしまう所長。

(ミライのお披露目…)

そんなの楽しめるワケがない。

どうしてこう次から次に面倒事が降りかかって来るんだよ!

勘弁してくれよ~。
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