ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「では、ここから先の説明は、所長であります私、栗栖が務めさせていただきます」

と、所長がマイクを握って立ち上がった。

「従来のロボットの概念を越えた、人間そっくりの完璧なヒューマノイド。我々はその実現を目指し日々努力を重ね、そしてついに完成の運びとなりました。人間そっくりに動き、人間そっくりに話し、人間そっくりにココロで感じ、微笑み、涙を流し、そして人を愛する。そんな夢の様なココロをミライは手に入れたのです!」

所長の声に力がこもってる。

「そしてそれは、ミライの横にいる『彼』の存在なくして有り得なかったのです!」

来たーっ!

一斉にフラッシュがこっちを向いた!

(眩しい…)

視界を埋め尽くすきらめくフラッシュ。

数え切れない程の数のレンズがこっちを覗いてるのが見える。

何だこの迫り来る緊張感は。

(うお~、しっかりしないと押し潰されそうだ)

と、プロジェクターのレンズがキラッと輝いた。

(ん!?)

振り返ったスクリーンに映し出されたのは、ミライの目から見た僕の映像だ!

(ワッ!)

ミライに微笑みかける僕の顔が映ってる。

それをみんなに見られてる。

(こんなプライベートまで…)

背景からするに僕の部屋、日の入り方からして時刻は朝、しかも僕の顔がスッと近づいて来るじゃないか!

(ま、まさか)

いきなりこのシーンからかっ!

「おお~」

記者たちからどよめきにも似た声が。

(…)

赤面しちゃうってぇ~。

(カンベンしてくれよ)
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