ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
 記者会見が無事に終わった。

「いやぁ~、終わった終わった。局長も満足してたよ」

にこやかな笑顔の所長と研究室に戻る。

「お披露目は大成功だ。これで胸を張って表を歩けるよ」

所長がウンウン頷いてる。

確かにこれで、全てが明らかにされたんだ。

僕とミライの日常までも、全部。

(いきなりあんなシーンから映す事はないじゃないですか)

いいオモチャにされそうですよ。

「やっぱり、ヤジ馬が今まで以上にうるさくなるんでしょうね…」

オタクなヤジ馬が増えそうで怖いですよ。

「大丈夫さ。ボクだって、な~んにも考えてないわけじゃないよ」

「え?」

「身近な所から、意外な協力者が現れる筈さ」

所長が微笑みかけてくる。

(協力者?身近な所から?誰だ?)

またぁ、一体何を考えているんですか?

「…任せといて大丈夫なんですか?」

なんだかんだ言って、頼れるのは所長だけなんですけど。

「ウンウン、大丈夫。まずは君自身がそう思ってないとダメだよ。ここを乗り越えられるかどうかは君の気持ちに一番懸かってるんだ。なんてったって、」

と、所長がフッと微笑んできた。

「?」

「ミライは、君の大事な『みらい』なんだからね!」

「ええ、そうですね」

そうなんだ。

『みらい』の為だって、そう思えばどんな事だって耐えて行けるさ!
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