ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
(ん、ちょっと待てよ、)

これも全部、所長に見られるのか!

(マズイって!)

パッと体を離してミライの肩に手を掛けた。

「ミライ、今のは記録に残してるのか?」

こんなトコ、テレビで公開されたりしたら堪らないよ!

「ううん」

と、ミライがちょっと肩を竦めて首を振ってる。

「外から取り出せないところに、ちゃんと大事に残しておくからね♪」

嬉しそうに微笑んでる。

「そうか、よかった」

取り出せないのなら、一安心だ。

ホッと向き直って、肩を掴んだままミライと見つめ合う。

頬を赤らめて照れくさそうにしてる仕草に、グッと愛おしさが募る。

(本気で惚れそうだよ)

肩に添えた手に、ミライの肌の熱い温もりを感じる。

(何て罪作りなんだろう)

心の奥の本能に、ゾクゾク訴えかけてくる。

(もちろんわかってる)

でも、抑えきれないこの気持ちは何だ。

(新しい感情が、生まれるのか…)

ここから、新たな進化が始まるのか?

(…そうかもしれないな)

心の中に、今までにない感情があるのは、確かなんだ。
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