ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「ねぇどうして、ロボットが人を好きになる必要があったの?別になくてもロボットの務めは果たせるって思わない?」

あぁ確かに。どうしてだろう?

と、所長がニッと笑みをこぼした。

「ロボットが人を好きになるのには、いや、人からの愛情を必要とするのには、大事な理由があるんだよ」

大事な理由?

「何なの?」

先に聞き返した広海君に、所長が微笑んで答える。

「ロボットが人に危害を加える事がないように、だよ」

聞いた広海君がハッと言葉を返す。

「それってロボット三原則?!」

「そうだよ」

それって、どこかで聞いた言葉だな。

「ロボットが完全に人から独立して行動していたら、いつ人に対して『反乱』を起こすかわからない。でも、ロボットが人からの愛情無しではいられない様にしておけば、人に危害を加えるとか人に逆らうとか、人から愛されなくなる事はやらないだろ?」

なるほど。

そうしておけば人間に危害は加えない。

ミライやロイが、僕やクワンの愛情無しではいられなかったように。

と、ウ~ンと息を吐く広海君。

「でもそれだったら、愛する人の為に犯罪を犯すロボットが出てくるんじゃない?愛する人が喜んでくれるからって」

おぉ~、なるほど。

それは一理あるね広海君。

と、所長がフッと首を振ってみせた。

「それは、人間の男女にだってありえる事だよ」

所長がまじまじと見つめてくる。
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