ふたりの彼女と、この出来事。 （新版）
「どんな世界にだって、悪巧みをしようとする人間はいる。自分への愛情を利用して犯罪を犯させる、そんな人間が悪いんだ。使われたロボットが悪いんじゃないよ」

確かに、使う人間の側に責があるのかも。

「う～んそうよね。普通は悪い事なんて望まないんだから、好きな人を悲しませるような事はロボットもしない、ってそういう事ね」

頷く広海君。

「そう。ロボットが人間に依存していれば、ロボットが人間に自発的に反抗する事はないだろ？それが十分な安全回路になるってボクは思ってるわけさ」

所長が満足げに微笑んで、ニコヤカに声を上げた。

「な～に、心配する事なんかないよ！」

パッと両手を広げてる。

「何かあったとしても、何とか出来るよ！ボクらの技術の力でね！」

いつもと変わらぬ明るい笑顔。

ホントにこの人は。

広海君だってちょっと呆れ顔だよ。

「楽天的ね～、相変わらず」

肩をすくめる広海君。

「ウンそうだよ」

所長は褒め言葉と受け取ったみたいに喜んでる。

「科学技術は人間が抱える問題を解決してくれる。今までだってそうだったろ？これからだってそうなんだって、ボクは信じてるんだよ！」

明るく胸を張る所長。

なるほど～。

（案外、）

そうかもしれないナ。
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