ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
 年が明けて一週間。

正月休みが明けて実験室にミライと二人。

…だと良かったんだけど、振り向けばテレビ局の人たちが。

戻って来なくていいのに~。

「こんにちはセンセー!」

とにぎやかな声で扉が開いて、遅れて広海君が現れた。

両手で紙袋を重そうに下げてる。

「おっ、どうしたんだい?」

尋ねると、フ~と息を吐いて寄って来た。

「昨日七草粥を食べに実家に帰ってたの」

そうかそんな時節か。

「これはおみやげ」

と、紙袋の中を覗き込みながら抱え上げてくる広海君。

「実家の方の地酒なの。よかったら二人で楽しんで」

紙袋ごと差し出してくる。

中には一升瓶の清酒が二本。

「いいのか?」

「うん。さすがに私も飲みきれないから」

「…」

君なら大丈夫だよ、とツッ込むのは止めておこう。

「じゃあ、ありがたく頂くよ」

紙袋を抱えるようにして受け取る。

と、横から見ていたミライが、ニッコリと嬉しそうに微笑み返してくれた。
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