ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「あっ、これミライじゃないですか!」

洒落た雰囲気の部屋をバックに、背の高いガラステーブルの上に載った真っ白い丸いパソコンを横にして、笑顔で立つミライの姿がある。

「ミライが広告のモデルになって、それに対してお金を払うって形になってるんだよ。どうだいキレイに撮れてるだろぉ?」

ポスターの上から顔を出して、嬉しそうに微笑む所長。

(ミライがモデルになって…)

なるほど。

ロボットとしてのミライにではなく、一人の女性モデルとしてのミライにお金を出してくれたのか。

(ミライが『ミライ』として認められたんだな…)

なんだかじんわり嬉しくなってくる。

「で、ミライは?今どこにいるんですか?」

パッと見回してみた。

けれど、肝心のミライの姿がどこにも見当たらない。

「まあまあ、慌てない慌てない。逃げやしないからさ。ホントはもうちょっと局長に捕まってると思ってたんだよね、ウン」

と、所長があさっての方向を向いて何やらウンウン頷いてる。

「な、何ですか?」

また、何か企んでるんですか?
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