ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「一応、段取りはキチンとやっておきたいんだ。せっかく準備したからね。ちょっとこっちへ来てくれないかな。もうちょっとの辛抱だからさ」

と、所長がなだめる様に僕の背中に手を廻してクルッと回った。

そのままミライと引き離すように前へと歩き出す。

「どうするんですか?」

何をするんですか今度は。

「いいからさ。ほら本田君たち、ミライの方を宜しく頼むよ」

指示を出しながら歩いていく所長に導かれる先に、白い布で覆われた円筒形の台座があった。

(これって…)

研究所に初めて来た時の事を思い出した。

まだ骨格だったロイが立っていた台座が、すっぽりと白い布で覆われている。

「所長、何をしようって言うんですか?」

「ウン、すぐにわかるよ…」

何やら感慨深げに白い布の固まりを見上げてる。

(何考えてるんだ?)

本田君たちが、ミライを連れて円筒形の裏へと回って行く。

(何するっていうんだ?)

しばらく後、本田君の合図が返って来て、所長がパッとこっちを振り返った。
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