ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「この無音室で、様々な環境心理状況下での行動パターンを観察し解析を行なっている訳です。で、これらが測定に使う機器でして、」

ワゴンに載った測定機器類を説明して廻る教授に、所長とミライがウンウンと頷いて返していた。

一度の説明でわかってるとしたら、大したもんだよ。

「とまあ私からはこんな所で、後は大沢君に任せるとしましょう。まあ無理せずに、データの整理ぐらいからボチボチ教わるといい、ミライ君」

と優しい眼差しをミライに向ける教授。

「はい」

素直に頷いて返すミライ。

聞いてすぐ覚えてくれそうな賢い感じ。

教える方としては頼もしい限りだ。

「じゃあ後は頼むよ大沢君」

教授が軽く手を上げながら部屋から出て、スーッと閉まる扉の向こうへと姿を消した。

(僕が説明するまでも無いな)

一通り教授が話をしてしまったよ。
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