ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「これってミライの目の映像?」

僕が動くと画面に映った僕の姿も動く!

「そう。過去の映像も見れるんだ。今朝からの分を出すよ」

画面に今朝の、腰を抜かしてる僕の姿が映った。

「ハハハ、これは教授が喜びそうな映像だね」

えっ?!って事はまさか、

「所長、これを教授に見せるんですか!」

「そうだよ」

…。

「教授がミライの目の映像を見たいって言ってるんだ。これからDVDにして持って行くつもりさ」

「ミライの目の映像を…」

そうか。

一緒に居なくたって、ミライの目に映った映像をこうやって見れるんだ。

僕の一挙手一投足も含めて。

「あっ、」

だから飲みについて来なかったのか!

「これを見て自分一人だけ楽しむつもりなんだ、あの教授はっ!」

マッタク、何考えてるんですか教授っ。

「ハハハッ、楽しみにしてたよ~、教授。こんな形の行動観察の資料は今までにないってね」

そりゃそうだ。監視カメラまがいに、僕の行動を四六時中見れるんだから。

「これから先も、ミライが見た映像は全部録画されるんですか?」

そんなのやりづらいですって、覗き見られてるみたいで。

「ウン、今のところはね。もうしばらくしたら、ミライが覚えたい事を選択して保存するプログラムに替えてみるつもりさ」

そうですか。それならだいぶ気持ちが楽になりますけど…。

「それじゃ、データコピー開始っと」

キーボードを叩く所長。

パソコンがカリカリカリッと動き始める。

耳にケーブルを繋がれて立つロボットと、横で唸りを上げてデータをコピーするパソコン。

いかにもロボット開発してますって光景。

「じゃ、お昼でも食べに行こうか。おごるよ。お寿司でもどう?」

「あ、いいですね!行きましょう所長!」

あれ?いつの間にか口調が広海君になってるような…。

(ハハハ…)

洗脳されちゃったかな。
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