ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「ふ~ん、そうなんだぁ」

ん、何か言いたげにしてるね広海君。

「ねぇ、先生、」

「?」

何だい?何を言い出すんだいその口から。

「先生とミライさん、何だかもう一心同体って感じじゃない?」

ってオイ、何言いだすんだよ。

「どういう意味だよそれは」

「そういう意味だけど」

ナニ澄まして聞き返してるんだよ。

「そんなワケないだろ」

「そうなの?まあ、これからなのかもしれないけど」

と、広海君が顔を寄せて来た。

「でも先生、あんまりのんびりし過ぎるのもどうかと思うわよ。ホント、ガンバってよねセンセッ」

元気ハツラツに声を上げてる。

いつの間にかどっちが励ましてるんだかわからなくなってるよ。

「ご忠告ありがとう」

「いえいえどういたしまして」

すっかり笑顔を取り戻してるし。

出来たら大人しくしてて欲しいもんだよ。

「じゃあ、最初はまず、残ってるデータのバックアップから始めようか」

「は~い」

窓際に並んだ机に座る。

教えた通りに黙々と手順をこなすミライ。

(コンピューターがコンピューターを扱ってるようなモンだもんな)

飲み込みが早くて当然。

「あっ先生、書き込むDVDの残りが無いみたい」

広海君が脇机の引き出しを覗き込みながら声を上げた。
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