ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「先生のケータイに掛ければいいのよぉ。もう一緒に住んでる仲なんだってぇ!」

な、何て言い方するんだよ!

「ええーっ!一緒にぃ?どういうコトぉ???」

ほらやっぱり。そりゃツッ込まれるって。

(確信犯だなコイツは)

勘弁してくれよ広海君~。

「付き合ってるの、先生?」

いやいや、そうじゃないよ。

「いや、通うのは負担になるし、ミライの体が心配だから、そうしてくれって頼まれたからだよ」

「ふ~ん…」

二人の院生が声を上げて互いを見合う。

「でも、だからって一緒に住むって、教育上どうなんですかぁ、教授」

パッと振り向く院生に、教授が首を振って返した。

「プライベートな事だ、私は構わんよ。たとえ付き合う事になってもな」

と教授が僕を見て、ニヤけながら続けた。

「その相手が、ミライ君であれ広海君であれな」

ハイ?

「君と広海君とはお似合いだと思うんだが?」

って、ナニ言いだすんですか教授!

「先生と私が?」

さすがに目を見開いてる広海君。

そりゃ当然だよ。

そもそも、

「広海君はここの院生ですよっ?!」

教官が学生に手を出せるワケないでしょ!
と、教授が悪びれずに返してきた。

「なあに気にする事はない。私も教え子を妻にした口だからな。気が合えば教師も学生も関係ないぞ」

って、何ニヤけて言ってるんですかっ。

「さあどうなんだ、二人はこの一年間、仲良くやっていたと思うんだが?」

って、何をアオるような事言ってるんですか!
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