【短】きっと明日も、君のことが好きだから。



そわそわ、そわそわ。

そんな効果音がつきそうなほど、女の子たちは落ち着きがなかった。

もちろん、私も。


(いや、私に関しては、な……)


あの日……バレンタインの日、チョコを押し付けて帰ってきてしまった私。

あれから、学校で快くんと会うことはあった。……あった、けど。

恥ずかしくてしょうがなくて、目が合ったら逸らして。廊下ですれ違ったらうつむいて。


(嫌われちゃってたら、どうしよう…っ)


期待しても無駄だってわかってるのに。

ホワイトデー。

その響きだけで、もしかしたら……なんて。

そわそわが、おさまらなくなるの。


「えーみかっ!」


「わっ、ど、どうしたの?」


「え? 別に。笑花いたから」


「そ、そうなんだ」


男の子にチョコを渡したこととか、お返しあるかな、なんて思ってることとか。

そういうの考えてるだなんて知られたくない。

だけど。


「……笑花、なんかそわそわしてんね?」


「っ、」


(そうだよっ。だって、ホワイトデーなんだもん…!)


もちろんそんなこと言わないけど、やっぱり緊張は隠せないみたい。


「や、なんでも、ないよっ」


「そう? とりあえず朝練行こー」


「うん、そうだね」


(もう、はやく放課後になって……っ)


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