【短】きっと明日も、君のことが好きだから。



明日までの課題を終わらせようと机に向かうけど、集中が途切れて、本を読み始める私。


(そうだよね、あたりまえだよ。期待なんてした私がばかだったんだよ)


小説の中のヒロインたちは、かっこよくて優しいヒーローと恋に落ちる。

そして訪れる、ハッピーエンド。

いつもならドキドキと胸が高揚するのに、今はなんだか疎ましく感じてしまって。


(いい、なぁ……)


ぽろりとこぼれたひとつぶの涙に気付かないふりをして、早めにベッドに入ったけど……


(快くんは、今、何してるのかなぁ?)


頭に浮かぶ、君の笑顔。

私だけに向けられた、あの、笑顔。


「っ……」


(ばかだなぁ、私)


期待なんかしても、意味無いってこと、わかってたのに。

人気者の快くんと、知り合いその50くらいの、地味で目を合わせて話すことすらできない私。


「私の、ばかっ……」


胸がぎゅっと、苦しくなる。痛くなる。

今日は、なかなか眠れなかった。


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