【短】きっと明日も、君のことが好きだから。
「っえ……?」
息が、止まるかと思った。
心臓が、うるさいくらいに鳴り始める。
(なんで、どうして、え、どうして、ここに)
そこにいた人物に、目を奪われた。
困ったように笑う君に、顔があつくなる。
「……快、くん」
やっとの思いで声になった君の名前。
でも、その名前を口にした瞬間、ばかみたいに手と足が震えてきた。
「……昨日、塾があって、来られなかったから」
不規則に音を鳴らし続ける、心臓。
火が出ちゃうんじゃないかってくらいあつくなった、顔。
「バレンタインのお返し。渡しに来たんだ」
「っ、」
……涙が、出そうになった。
期待なんかしたのが悪いって。
さっさとあきらめた方がいいって。
ずっと、無理だと思ってたから。
「あと……俺は、春名さんと同じ気持ちは返せない」
こうしてお返しをくれるだけで感動して、どうしようもないのに。
こんな私にお返事までしてくれて、立ってられなくなりそうになる。
「ごめん」
「っ……」
それくらい、うれしい。
なのに。
(涙が出てくるのは、どうしてなの)
かなしいとうれしいが混ざって、心の中がよく分からなくなる。
でも、やっぱり。
「う、んっ……」
(快くんの、特別に、なってみたかったなぁ……っ)