【短】きっと明日も、君のことが好きだから。
どきどき、ドキドキ。
女の子たちのドキドキと、男の子たちのソワソワが、不思議な空気をつくってる。
いつもと同じように、学校に行けば、部活の朝練から始まるゆううつな1日がはじまる。
……でも。
今日は、いつもと少し違う。
だって、今日はバレンタイン。
みんなにとって、私にとって、特別な日なんだ。
「ねね、チョコ持ってきた?」
「放課後さ、一緒に配りに行こっ」
そんな会話が、いろいろなところから聞こえる。
もちろん、私もそのひとり。
「笑花は放課後?」
「うん。学校は、ちょっと……」
「あはは、だよね。あたしも学校終わったら配りに行くし」
友だちと話しながら、教室をでる。
すると、
(……あ、)
――とくん。
制服を脱いでジャージに着替えている“彼”の姿が見えた。
朝、隣のクラスを覗くのが、日課になりつつある。
……いや、なっている。
それは、“彼”―― 快 (かい) くんの姿を見ることができるから。
(わ、笑ってる? 朝なのに、めずらしいな)
男子バスケ部の、快くん。
教室は隣だけど、違うクラスということに変わりはなくて。
なかなか、ううん、全然話す機会がない。
だからこそ、今日。
私は、勇気を出すんだ。