【短】きっと明日も、君のことが好きだから。



どきどき、ドキドキ。


女の子たちのドキドキと、男の子たちのソワソワが、不思議な空気をつくってる。

いつもと同じように、学校に行けば、部活の朝練から始まるゆううつな1日がはじまる。

……でも。

今日は、いつもと少し違う。

だって、今日はバレンタイン。

みんなにとって、私にとって、特別な日なんだ。


「ねね、チョコ持ってきた?」


「放課後さ、一緒に配りに行こっ」


そんな会話が、いろいろなところから聞こえる。

もちろん、私もそのひとり。


「笑花は放課後?」


「うん。学校は、ちょっと……」


「あはは、だよね。あたしも学校終わったら配りに行くし」


友だちと話しながら、教室をでる。

すると、


(……あ、)


――とくん。


制服を脱いでジャージに着替えている“彼”の姿が見えた。

朝、隣のクラスを覗くのが、日課になりつつある。

……いや、なっている。

それは、“彼”―― 快 (かい) くんの姿を見ることができるから。


(わ、笑ってる? 朝なのに、めずらしいな)


男子バスケ部の、快くん。

教室は隣だけど、違うクラスということに変わりはなくて。

なかなか、ううん、全然話す機会がない。

だからこそ、今日。

私は、勇気を出すんだ。


< 3 / 22 >

この作品をシェア

pagetop