【短】きっと明日も、君のことが好きだから。



(顔、上げられない……どうしよう)


うつむいた私の目に映ったのは、時間をかけて、きれいにラッピングしたバレンタインチョコ。

……そうだ、チョコ、作ったんだ。


「あのっ……こ、これ、もらってください…!」


そう言って、チョコを快くんに渡す。

快くんは、今、どんな表情をしているんだろう。

笑ってる?

それとも……困ってるかな?

……困ってる、よね。

私がうつむいたまま、顔を上げないのを心配してくれたのか、快くんは声をかけてくれた。


「……春名さん」


優しい、声。


(なんか……泣きそうに、なる)


「ありがとう」


「っ、」


(もう、無理だよ…っ)


ドキドキしすぎて、沸騰しそう。


「そ、それじゃあ!」


うつむいたまま、私は走り出した。

変な子って、思われたかもしれない。


(最後まで……目、合われられなかった)


でも。


(“好き”って、ちゃんと、言えた…!)


それだけで、いい。

それだけで、私はうれしい。


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