曖昧デイズ
♭いち

始まりの別れ




「舞花(まいか)、別れよ」



コイツとは、もう別れるつもりだった。遊び人だし、チャラチャラしてるし。



だから『いいよ』って言ったのに、『お前最低』とか言い残して去って行ったアイツ。



何?あたしになんて言って欲しかったわけ?本当にウザいんだけど。



「ふざっっっけんなァ!
ハゲろ!アイツ絶対将来ハゲろちきしょー!」



放課後の屋上から叫んだあたしの声は、むなしくこだました。



別に、未練がある訳じゃない。ていうか未練とかありえない。



ただアイツが言い残した『お前最低』が頭の中を大回転して離れないのだ。



あーもう!ムカつくムカつくムカつくムカつく!



「一回死ね!
あ、やっぱ二回!」

「おーおー荒れてんなぁ」

「…龍(りゅう)、なんでいるの?」



あたしが叫んでいるところにやって来たのは、10年間腐れ縁の真宮(まみや)龍。



幼なじみとも言うらしいけど、小さい頃はいじられてばっかりで龍が嫌いだった。



「え、なにその顔。
俺来ちゃダメだった?」

「うんダメウザい。
だから帰って」

「ひでーなァ。
せっかく慰めに来たのに」



言ったそばから顔がにやけている龍。ヤバい、殴り倒したい。



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