【短編小説】高校生昇華物語
相沢の日常
高校の授業が終わった。

また放課後という名の地獄が訪れる。



1週間前のこと──


私──相沢はいわゆる断ることができない人間だった。拒絶ができない人間だった。

そんな私の性格を見抜いてか、学年で少し名の知れた不良学生──宇井が私に目をつけて寄ってきた。

「おい、お前。今いくら持ってる?」

???

最初は何を言っているかわからなかった。

理解できなかった。

そんなことを知ってどうする。

お前には関係がないだろう。

そんなふうに思った。

「出せよ」

この言葉でわかった。

カツアゲだ。

生憎だがお金はそんなに持ち合わせていない。

300円くらいだ。

別に。

300円くらいで学生生活の安全が保障されるのならば安いものだ。

そのまま財布ごと300円を出す。

「けっ、こんなもんかよ」

不満げな声を洩らす。

カツアゲの相手を間違えたな。

残念。
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